「どうなる グローバル下の不動産」 

不動産コンサルタント技能     河合恭伸 著

東京一極集中と産業空洞化の問題点が
戦後政治のウミと共に吹き出てきた。

 

<まえがき>

 政治経済については、何時、何が起こるというように日や時期を特定して将来を予測することは極めて難しいことです。しかし、どの方向に向かいつつあるのかを知ることはある程度可能ですし、また、それが分からないとあらゆる経営判断を適切に行うことができません。最近は地球規模で地震や気象現象についての観測網が整備されてきています。地球の反対側で起こった先のチリ巨大地震の津波が、半日後に日本に届くとを知ることができます。海を眺めていても水位の上昇にはあまり気付きません。しかし、TVで早送りの映像を見せられると確実に水位は上昇し、各地に被害を出している様がよく理解できます。世界で起こっている政治経済事象を事前に早送りで知ることは、いまのところ残念ながらできませんが、あらゆる事象に敏感であれば、水位が上昇して多大な被害が発生する事を事前にある程度のことは予測可能です。

 不動産価格にかかる今後の推移について、従来であれば、日本の政治経済の動向に注目していればそれなりの判断ができました。しかし、いまは世界がグローバル化し、世界が一体化して連動するようになっています。つまり世界全体が一つの国となった状態になっています。従って、他国の動向についても関心を払わないと、適切な判断が出来にくくなっています。それだけ、従来よりあらゆる問題が複雑に絡み合っているという事です。不動産問題は政治経済の一つの局面です。つまり地価動向についても、今後の予測にあたって、日本の政治経済の動向だけでなく、世界経済の動向を読み取らないと判断出来ません。当然、漫然と全体を眺めていても、世界の動向を知ることは出来ません。そこでより複雑化した世界の観察を深める場合、要素別に分析して動向を判断することで、より的確に全体の流れを把握できるのではないかと思っています。

 そこで、ここではその要素別に問題を整理することから始めたいと思います。そして、世界経済の動向、日本経済の病根を認識することで、地価が今までどのように変化してきたのか、又、今後どのように変化するのかを予測することがある程度可能になってきます。従来なら無地の反物を織っていればそれで商売になっていました。いまはゴブラン織のように、よりカラフルで厚手で複雑な模様の生地を織ることが必要な時代になっています。その場合、その観察の要点は幾重にも複雑に影響しあっていることを理解したうえで、各要素がどのような性格を持ち、他と関係しているのかを理解していないと、出来上がってくる反物がどんなものになるか予測できません。さらに、世界経済の動向や今後現れてくる事象について可能な範囲で予測すると共に、不動産業界の生き残り策を検討してみたいと思っています。

平成22年 吉日                                河合恭伸 識

-----------   目次  -------------

まえがき

地価変動の基本的要因
  1 「人口推移」について
  2 「住宅の需給」について
  3 「所得推移」について
  4 「事業機会」について
  5 「産業空洞化」について
  6 「余剰資金」について
  7 「産業立国」について
  8 その他の課題
    イ、少子高齢化社会
    ロ、基軸通貨と日本の財政
    ハ、仮需要

世界的不況の真因
  1 米国発の景気後退
  2 日本国内の景気対策
  3 先進国と新興国の関係
  4 近未来社会について

日本経済の問題点
  1 政治の幼稚性
  2 日本が歩んできた道
  3 グローバル化の波
  4 東京一極集中の弊害
  5 地方行政の疲弊

地価暴落の重大性
  1 地価下落の影響
    イ、第一次地価暴落の原因
    ロ、第二次地価暴落の原因
  2 第二次地価暴落の行方
    イ、少子高齢化社会の進展
    ロ、財政規律の崩壊
    ハ、高失業率に対する無策
    ニ、日本防衛の混迷
  3 地価暴落放置の重大性
  4 景気対策

不動産を取巻く環境
  1 不動産業界の商機
    イ、求められる住宅設備
    ロ、需給のギャサプ
    ハ、需給見通し
    ニ、選別される業者
  2 不動産業界の活性化

 

 

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