「道州制導入で日本再生を」 

不動産コンサルタント技能     河合恭伸 著

道州制の導入で「経済の負のスパイラル」からの脱却を図ろう。

 

<まえがき>

 いま、日本を覆う政治経済の閉塞感の根本原因は、政治家の能力不足もありますが、より根本的には「現行民主主義政治体制」の制度疲労による、行き詰まりにあると考えています。いまの政治体制の中で、必然的に育てられてきた「官僚国家社会主義体制」がマンモスとなり、日本の財政を悪化させ、硬直化させてきたところに問題があります。それに加えて、押し寄せてきている「グローバル化の波」の本質について、為政者が十分に理解できず、当然ながらその解決策も見出せずにいて、適切な施策が取られていないことも重なり、現在の閉塞した社会経済情勢を生み出していると考えています。

 これら詳細についての説明は本文に譲りますが、更にその奥深い根底には、占領軍により指導されてきた戦後教育の欠陥が、国家百年の大計を考えるべき政治家に人材を生み出し難くしてきました。そして、国民により選出された議員達は、小選挙制の弊害も重なって保身に走り、目先の論議や政争に明け暮れ、利権に血眼するのみで、政治経済上の根本的な問題点についての見識もなく、対策も立てられずにいます。例え分かったとしても、決断力に乏しく、問題解決が図れそうにありません。残念ながら、連合軍が日本を無力化しょうとした占領政策が、功を奏してきた結果が現れています。

 二百五十年続いてきた徳川幕府は、当時、日本を始めアジア諸国を植民地化しょうと狙ってきた欧米諸国からの開国圧力に対し、適切に対処できず、機能不全に陥っていました。そうした国難から日本を救うため、立ち上がった薩長土連合軍や松下村塾の門下生を中心とした志士達は、下級武士であったことで、過去のしがらみに囚われることなく、物事を判断し決断することができました。その結果、彼等によって明治維新が成功しました。彼等の活躍で、幸い日本は欧米各国の植民地化の餌食にならずに済みました。しかし、次々に押し寄せる外国からの植民地化の侵略の波に対応するため、心ならずも引きずりこまれた日清・日露戦争も、よく勝利の中で切り抜けられました。そして続いて満州事変、上海事件、日支事変、大東亜戦争へと、日本は戦争一色になり、最後は沖縄を始め、本土の殆どを焼夷爆弾などにより焼き払われ、原子爆弾を落とされ、ソ連の参戦でとどめを刺された格好になり、敗戦を迎えました。
  程なくして講和条約を結びましたが、その時、米軍は二度と日本を立ち上がれないようにするという占領政策を取ってきたため、その後、真の日本再建に多大の心労を必要とする状態になっています。国の基本である国防を米軍に依存し、国民の厭戦気分が助長され、独立自尊の精神が育ちませんでした。他方、国防を米軍に一任し、自立自尊の精神を失うという大きな犠牲も払いつつも、とにかく、経済復興のみに邁進することができ、奇跡の復興を成し遂げることができました。しかし、バックボーンのない国の繁栄は危ういものです。加えて、明治維新以来、今日まで百四十年間続いてきた、官僚国家社会主義者による支配を許す基本は大きく変わらず、社会主義国と同様の弊害に苦しむ結果となっています。基本的にこうした現体制が抱える問題が増幅しつつある中、今度は「グローバル化」の高波が押し寄せ、問題がさらに累増してきました。その結果、国の累積公的債務が一四〇〇兆円に迫ろうとしています。プライマリーバランの考えは何処かに消え。何とかなるだろうと、歳入よりより多い赤字の国家予算を許す国会になり下がっています。

 あらゆる物事は始まったときから既に衰退に向かって変化していきます。採用した時は最善の対策でも、その後、目に見えない変化が何処かで起こっていて、気がついたときは、その後の色々な副作用のため、早急に対処しなければ手の施しようもない状態になっているものです。どんな組織や制度でも、永年続けている間に、メリットよりデメリットの方が増えるものです。その端的な様子がいま日本の現状です。「官僚専制政治」「産業空洞化」「失業者の激増」「少子高齢化社会」「地価暴落」「脆弱な国防」などとなって現れてきいます。これらの問題は所詮、現行政治体制の欠陥により増幅してきたものです。

 民主主義のもとでは、財政は一般的に常に赤字へと傾く傾向があります。議員は選挙のため増税できず、選挙民の欲求に応えようとする欠陥を内包しています。そして資本主義下の金融市場も規制を嫌うため、バブルが起きやすい体質を抱えています。それが一面活力の源泉にもなっています。資本主義の市場競争は、優れた能力を発見するための重要な機械装置です。しかし、それだけに優れた最終統治責任者がいないと、混乱と無秩序を生み出す可能性があります。有能な指導者不在のために、生じる問題への無策の結果が、国力衰退となって現れてきます。その端的な表れが不動産価格の暴落です。一般的には不動産価格の動向を、単なる需給によると受け止められて、さほど重要視されていない場合が殆どですが、その意味するところは大きいと筆者は理解しています。いまの地価暴落は、経済政策の無策により発生した、経済の「負のスパイラル」に起因するものです。いまの地価下落の意味するところを十分理解せず、必要な対策が採られないまま、赤字国債の増発を繰りかえしているのがいまの政治です。

 そうした意味で、本書ではいま起こりつつある日本の閉塞感の根本原因について、個々に洗い出し、為すべき方策を提示し、この閉塞感を打破、日本再生への道筋を明らかにしていきたいと思っています。現在吹き荒れている「グローバル化」という厳しい嵐も、永遠に続くものではありません。この嵐の源は、新興国が世界経済のなかに取り込まれ、新興国と先進国が同じ土俵で競争するために生じている経済摩擦です。この嵐に適切に対処して、生き残った国のみが、新しい時代で活動が約束されるのです。従って、政治体制の変革のみでは新しい情勢に対処できません。その他、今まで積み残されてきた色々な問題について、適切に対処することが求められています。それらの事を実行するためにこそ、有為の人材が政界で活躍し、必要な政策を実行して頂くことを願うのみです。

平成24年 吉日                                河合恭伸 識

機,錣国の現状
  1,占領政策と戦後教育
  2,議会制民主主義の制度疲労
   イ、政党政治力の低下
   ロ、政党の変質
   ハ、欧米各国の実情
ニ、歴代内閣の解散理由
  3,官僚機構の肥大
  4,グローバル化の波

供”蕕離好僖ぅ薀襪了呂泙
  1,傾斜生産方式の採用
  2,地方経済の疲弊
  3,官僚国家社会主義国の出現
  4,財政の悪化
  5,誇るべき日本文化

掘^戮擦个覆
  1,国民に語りかけを
  2,上杉鷹山公に学ぶ
  3,廃藩置県に学ぶ
  4,交通事故死の削減に学ぶ
  5,ゴミ減量作戦に学ぶ

検,い泙泙任寮策論争
  1,各種改革論
   イ、尾崎行雄の「廃国置州論」
   ロ、田中義一内閣の「州庁設置案」他
   ハ、田中角榮の「列島改造論」
   ニ、小泉首相の「地域主権型道州制」
   ホ、橋下大阪市長の「大阪都構想」
   ヘ、その他の地方主権構想
  2,いまの政治体制の問題点
  3,屋久島化への提案
  4,藩幕政治に学ぶ

后‘蚕制の導入
  1,道州制にかかる論議
   イ、道州制に掛かる決議、報告書
   ロ、道州制導入に至る流れ
   ハ、地方制度調査会の答申内容
  2,道州制導入のポイント
   イ、現行憲法の枠内での改訂
   ロ、地方分権推進の仕方
  3,道州制の概要
   イ、基本方針
   ロ、財政運営上の注意事項
   ハ、道州内の行政と区分
  4,強力な政治力

此‘蚕制外の政策
  1,道州制度導入後の問題
  2,国防のあり方
  3,年金制度の見直し
  4,財政赤字の削減
  5,少子高齢化対策
  6,農業政策
  7,発電設備と送電網の分離
  8,産業空洞化と失業対策
  9,特別会計

察‘蚕制導入後の日本
  1,国家方針の確立
  2,日本と世界経済の展望
  3,不動産価格の見通し
  4,教育の改善
  5,資源の活用

 

 

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