「百人の日本人」 

不動産コンサルタント技能     河合恭伸 著

グローバル化してきた世界で、我が国が生き残るため、日本文化を再認識しましょう。 日本文化を育んできて頂いた先祖に私たちは大きな誇りを持ちましょう。

 

<まえがき>

 十三億年前に日本列島が形成され、その地には数千万年前頃には既に巨大な爬虫類が跋扈していました。下って一六万年前頃の旧石器時代には各地から移住してきた人類が既に住みついていた形跡があります。考古学上で分かっている範囲では、一万数千年前には縄文人らが住み、下って弥生人が住んでいました。神話に寄れば九州高千穂に天皇を頂く大和民族が降臨し、次第に日本全体を統治するようになりました。有史以来二千数百年以上、単一国家、単一民族による日本という一つの大きな文化圏を築づいてきました。

 適度に大陸から離れ、温暖な島国の日本は、一つの文化圏を形成するのに適当な環境にあったと言えます。蒙古や清国、ロシヤ、下っては米英諸国と戦端交えることがありました。しかし、日本文化が消滅せずに今日まで続いています。大陸の諸国のように他国からの侵略が常態の国々では、自国の文化を護るために排他的に独自性を強調しないと、民族が文化的にな溶解してしまいます。従って、他国の文化に対して厳しい対応が必要です。しかし、日本の場合は大陸からの影響も適度に租借して自分のものにする余裕が持てました。

 こうして育ってきた独自の日本文化も、最近のようにグローバル化が激しくなるに従い、地理的な距離も昔ほどの力が失われてきました。昔、西欧諸国は他国を侵略するとき、先に宗教で洗脳しておき、精神面から侵略を容易する手法を採ってきました。他国を侵略するには武力によるより、文化的、思想的な方法を用いて侵略する方が得策だからです。いまでも一部の国では、近隣諸国に対する思想的な洗脳を行う方法に力を注いでいます。何れにしても、日本が日本であるためには、日本文化の本質を皆が理解して、他国の文化は文化として取捨選択し、護るべき文化は何であるかを自問自答していく必要が強まっています。

 では、日本文化とは何かと云われても、なかなか一言で説明することは難しい。本居宣長が「しきしまのやまと心を人とわば朝日ににほふ山桜花」と詠んでいますが、それほど簡単には説明できません。先人が歩んできた歴史を振り返り、色々な事象から日本文化の全貌を認識する以外にないのではないでしょうか。日本民族の尊敬を集めてこられた歴代の皇室がどのような態度で国民に接して来て頂いたか、また、歴史上の指導者達が外国からの圧力をどのような気持ちで排除し、日本を護ってきて頂いたか、一般庶民はどのような気持ちで仕事や日々の生活を営んできたか等を知ることが一番近道ではないでしょうか。それら先人による足跡の集大性が日本文化です。私達の体にはこれら先人の血が脈々と流れていること誇りを感じて頂ければ幸いです。

 こうしてはぐくんできた日本文化が、いまでは世界的に好意的に受け容れられています。日本人自身ではその特質が理解できなくとも、他国の人にはその違いがよく解るようです。その昔、日本から陶器や漆器が輸出されたとき、商品が壊れないようにと詰められた反故紙に古い浮世絵が使われていました。これを見た西欧の多くの人達を魅了しました。こんな素晴らしい繊細で芸術的な版画が作れる国、それが反故として使われる国とはどんな国かと注目を集めました。日常雑器を作らせても、細部まで神経の行き届いた製品が輸出されていました。これらのものに接した欧米諸国の人々に大きな影響を与えてきたことは、多くの人達が指摘しているところです。

 第二次大戦後、世界のグローバル化が一段と進み、日本も米国を始め多くの国々から様々な影響を受けてきましたが、日本文化もまたさらに世界的に広まる機会が増えました。ジャパンに代表される日本の漆器、浮世絵から始まり、日本製が高級品の代名詞になるほどの優れた工業製品を生み出し、日本食やアニメ、ハイク、マンガなども世界的に盛り上がっていますが、これら日本文化を発信しているのは私達日本民族です。こうした素晴らしい日本文化をこれからも守り育てていく為にも、先人の足跡を偲び、いま改めてこの優れた日本文化を蒸製してきた先人の足跡を眺めてみたいと思い、この本を上梓することとしました。

先の東日本大震災の未曾有の大災害は、日本民族に対する警鐘でしょうか、いまの日本人はあまりにも恵まれ過ぎていることと、地球環境の悪化や政治家の不甲斐なさの為に、将来に希望を持たずに生きている人が多いように思います。間違った戦後教育のため、日本人としての誇りと人間性を育成することが疎かになっていました。そのため、様々な悪影響が生まれてきていると思われます。しかし、優れた先人達の血が、私達日本人の血の中に脈々と流れていることに今一度思いを馳せ、一人一人の日本人がこの日本の直面している難関を突き破る原動力になる為に何ができるのか、自分の存在感を確認するためにも、日本を立て直すためにも何かやってやろう、という気持ちになって頂く契機になればと思っています。

 それにしても、日本人は何と純粋で優雅で美意識に長じた国民であるかと心から感じます。余りにも純真で人の善意を信じて生きてきました。しかし、世界が狭くなった分、それだけではではこの地球社会では生きていけないことに気づかされます。時として鬼になって対処することが求められています。そのとき、どのように対処すべきかの指針は先人の生き方に学ぶのが一番だと思います。日本が外国との接点で、直面した大きな難局に身を挺して対処して頂いた指導者達、人類意識の気高い人、日本独特の薫り高い文化形成に大きな役割を果たされてきた方々、日本人の特質を遺憾なく発揮されてきた方々等を百人に絞って紹介させて頂きました。なお、皇室は日本文化の中心的存在で、文化を形成する上で欠かすことのできない方々ですが、余りに畏れ多いので、何人かに絞って紹介させて頂きました。

 なお、人物紹介は基本的にはその人の出生年を基準にしています。同時代の人を観察することで時代背景も理解出来るのではないかと思いました。名前の下にその人を紹介する内容を付けましたので、人物を思い出すのにご利用頂ければ幸いです。巻末には名寄せと、日本の歴史年病、世界歴史年表を添付しましたので時代背景の理解に役立てていただければと思っています。また、これらの人物像を描くに当たって当然多くの書物から情報を頂きました。しかし、余りに多くの方々や著書なので、個々に名を挙げることを省略させて頂きましたがここに改めて御礼申し上げます。

平成23年 吉日                                河合恭伸 識

-----------   掲載者(出生年順)  -------------

(時代) (西暦) (人物伝)
 古墳  258  仁徳天皇(一六代天皇)
 飛鳥  575  聖徳太子(推古天皇の執政)
      640  稗田阿礼(古事記の語部)
      700  弓削道鏡(法相宗法王)
      701  光明皇后(聖武天皇の后)
 奈良  718  大伴家持(武人・歌人)
      758  坂上田村麻呂(初代征夷大将軍)
      774  弘法大師(空海)
 平安  825  菅原道真(右大臣・天神)
      903  平 将門(関東武将)
      966  藤原道長(関白)
      973  紫式部 (「源氏物語」)
      986  清少納言(「枕草子」)
     1118  西行法師(歌人)
     1118  平清盛 (太政大臣)
     1147  源頼朝 (鎌倉幕府の創始者)
     1155  鴨長明 (歌人「方丈記」)
 鎌倉 1247  北条時宗(執権・元寇)
     1250  正宗  (刀匠)
     1283  吉田兼好(俳人「徒然草」)
     1294  楠木正成(南朝方武将)
     1305  足利尊氏(室町幕府創設)
 室町 1363  世阿弥 (能楽家)
 戦国 1522  千 利休(茶道)
     1534  織田信長(戦国武将)
     1537  豊臣秀吉(戦国武将)
     1540  鳥居強右衛門(徳川方雑兵)
     1543  徳川家康(徳川幕府開祖)
     1558  本阿弥光悦(工芸家)
     1568  石川五右衛門(盗賊)
     1584  宮本武蔵(兵法者)
     1590  山田長政(シャム・リゴール国王) 
 安土 1602  佐倉惣五郎(義民)
 桃山 1614  八橋検校(箏曲検校)
     1615  野中兼山(土佐南学者)
     1619  熊沢蕃山(江戸初期陽明学者)
     1635  関 孝和(和算家)
     1644  松尾芭蕉(俳聖「奥の細道」)
     1653  近松門左衛門(劇作家)
     1659  大石良雄(赤穂藩家老) 
     1677  大岡越前守(南町奉行)
     1685  宮崎友禅齋(扇絵師・友禅染)
     1685  石田梅岩(石門心学)
     1693  井原西鶴(劇作家)
     1697  賀茂真淵(学者「万葉集通訳」)
 徳川 1716  与謝蕪村(俳人・俳画)
     1727  平賀源内(本草学者)
     1730  本居宣長(学者「古事記伝」)
     1745  伊能忠敬(測量師「日本地図」)
     1746  塙保己一(国学者)
     1748  山片蟠桃(町人学者・大商人)
     1751  上杉鷹山(米沢藩主)
     1752  大黒屋光大夫(ロシヤ漂流民)
     1760  葛飾北斎(浮世絵師)
     1760  華岡青州(医師・麻酔薬)
     1763  十辺舎一九(東海道膝栗毛・作家)
     1780  間宮林蔵(樺太探検家)
     1787  二宮尊徳(経世家)
     1793  大塩平八郎(町奉行与力)
     1799  田中久重(からくり人形師)
     1810  緒方洪庵(医師・種痘)
     1820  清水次郎長(侠客)
     1827  中浜万次郎(アメリカ漂流民・通訳)
     1828  小林虎三郎(長岡藩大参事・「米百俵」)
     1828  西郷隆盛(陸軍大将・維新志士)
     1830  大久保利通(内務卿・維新志士)
     1830  吉田松陰(松下村塾長)
     1835  福沢諭吉(経営者)
     1836  坂本龍馬(勤王志士)
     1840  渋沢栄一(実業家)
     1841  伊藤博文(初代首相)
     1841  田中正造(議員・足尾銅山鉱害)
     1848  東郷平八郎(連合艦隊司令長官)
     1849  乃木希典(陸軍大将)
     1851  荻野吟子(日本初の女医)
     1852  明治天皇(一二二代天皇)
     1854  高橋是清(大蔵大臣・総理大臣)
     1858  尾崎行雄(政治家)
     1860  嘉納治五郎(柔道創者)
     1861  白瀬 矗(南極探検家)
     1861  森川清治郎(台湾・警察官)
     1862  岡倉天心(東京美術学校校長)
 明治 1869  安達峰一郎(國際司法裁判所長)
     1870  斉藤隆夫(国会議員)
     1873  杉本鉞子(作家「武士の娘」)
     1876  野口英世(細菌学者)
     1878  吉田 茂(首相・講和条約)
     1879  瀧廉太郎(作曲家)
     1878  広田弘毅(戦犯・首相)
     1879  佐久間勉(潜水艇艇長)
     1883  植芝盛平(合気道創者)
     1884  鈴木貫太郎(終戦時首相)
     1886  八田與一(台湾ダム・土木技師)
     1889  柳 宗悦(民芸運動家)
     1894  松下幸之助(パナソニック創設者)
     1900  杉原千畝(リストニア大使代理)
     1901  昭和天皇(一二四代天皇)
     1902  白州次郎(吉田首相顧問)
     1906  本田宗一郎(ホンダ創設者)
     1908  井深大(ソニー創設者)

 

 

Copyrights 2004 株式会社西日本不動産センター