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「究極の相続対策」
不動産コンサルタント技能 河合恭伸 著
不動産業者として日々相続の問題に立ち会ってきた著者が、究極の相続対策を解説します。ノウハウも大切ですが、よき後継者を育てることが大切であると語ります。そして、そのための必要なアドバイスを詳解しています。
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<まえがき>
既刊「受け取る人、残す人の『相続対策の極意』」(文芸社刊)のなかで、極意とは何か。それは「実行」することだと説明してきました。では何を実行すればよいのか、それは出来るだけ早い段階で、一般に相続対策と言われることでやっておいた方がよいと感じたことを「実行」して頂ければよいのです。ただそれだけのことです。
しかし、実行して頂ける人は極めて少ない。「うん、判っている。近々そのようにする」と言いながら、いたずらに日を過ごし、ある日突然他界してしまう。 残された家族は途方に暮れている。その内に「相続」が「争族」となり、十数年が経過しているというように、財産の処分が済まないでいるという家族を数多く見てきました。 被相続人として実に無責任な態度ではないでしょうか。
少なくともこの本を手に取った方は、やるべき事を直ぐに実行して欲しいものです。
次に出版しました「相続コンサルタント『マル秘ノート』」(エンジェルプレス刊)の中では、残す財産の配分を考える前に、今の財産をどの様に管理すべきかよく考えて、適切な処置をして下さいと申し上げてきました。
不動産バブル前のように不動産を持っているだけで、特別に何の苦労もなく、日が経過していても気が付けばその財産が数倍になっていたという時代は十数年前に終わっています。しかし、未だにその時の成功体験が根強く残って、亡霊に支配されているようです。今は逆に持っているだけでは、気が付けば1億の土地が5千万円、3千万円になっていることは珍しいことではありません。 しかし、土地の姿は1億円の時と同じ姿で自分の前にあるため、ではどうすべきかという行動に結びつかない人達がまた極めて大勢おられるのが現実です。あたら多くの「資産」が「死産」になっている現実を見ようとしない。
今は、相続対策の小細工を考える前に、いまある財産を適切に管理し、必要な処置をして次の世代に渡すことが必要なのです。そうすることで親も今の生活をより豊かにして過ごせ、残る家族も「資産」が生み出す収益により、安心して豊かな生活を送る基盤作りができる筈です。
そして今回著しましたこの「究極の相続対策」のなかでは、今日まで営々と働いて貯えた預金や不動産に代表される資産を残すことも必要ですが、残すべき財産はもっと他にあるのではないですか、と言うことを説明しています。逆説的に聞こえるかも知れませんが、何を遺せと言うのかと言えば、財産を受け取るに相応しい相続人を育ててくださいということです。
片方の配偶者が突然亡くなり、残る家族が生活に困り、路頭に迷うようなことは避けられるよう、普段から資産の管理をしておいてほしいと思います。 また、折角蓄えてきた財産に対する相続対策を取らず、無防備に課税対象にしてしまい、汚職の資金として使われてしまうことも好ましくありません。
最高税率50%の時代では三代すれば100の財産も12程度になってしまいます。相続対策の方法を少し勉強し、早い目に対策を取って頂くだけで、余分な税金を払わずに済ませます。
しかし、財産は残せばよいというものではありません。親としては粒々辛苦して貯えた財産を、子等が当てにして生活が乱れ、遠ざけなければならないような連中が周りを取り巻く。その内、相続した財産もなくなると、「兄貴、兄貴」「社長、社長」と近づいていた連中の姿も消えて、残るのは借財だけという事例も後を絶ちません。本当に残すべきものを残さなかったからとも言えます。残る家族の幸福を願いながら、間違った相続対策をしてきた結果です。
叶うなら、親が残した資産を相続人が受取り、その資産を有効に活用して新しい事業を興す元手にし、子孫が末永く繁栄してくれることを親は望んでいるはずです。 そのためには、財産を受け取る相続人を立派な人間に育てることこそ究極の相続対策になります。
本書の第1編では、残すべき本当の財産は何かということを、色々な角度から説明しています。 第2編では特に実行して頂きたい「遺言書」の書き方について説明しました。
第3編では、相続に関係の深い民法、相続税法の他、譲渡所得税を中心にした所得税について、最低必要な法律についての説明をしていますので一通り目を通して下さい。
第4編では一般的に言われる相続対策を、色々な角度から章を分けて説明しています。被相続人が行うべき相続対策について、平成18年度の税制改正を反映した内容で、他では聞けないような対策について具体的な事例を交えながら説明しています。
第5編では、不幸にも相続が開始されてしまったとき、残された相続人が適切に対処する上で必要な注意事項について説明しています。この場合も、次の相続にも配慮した相続をするか否かで結果は大きく変わってきます。第4編を参考に工夫してみて下さい。
最後に、相続税や贈与税の税率早見表、遺言書のサンプル、その他、用語集など、直ぐその場で知りたい参考資料を別紙掲載しています。
この本は、一般の読者を対象に分かりやすく説明していますが、不動産関係や金融機関に従事する人も座右に置いて頂き、必要に応じて開いて頂ければ、必ず参考になると自負しています。
平成18年 吉日
著者 識
----------- 目次 -------------
まえがき
第1編 究極の対策
1 まず実行を
2 時代に沿った資産管理
3 遺言書の作成
4 暖簾から学ぶこと
5 生活環境を大切に
6 生きることの意味
7 まず健康
8 家族を守る
9 資産リストの作成
第2編 遺言書の書き方
1 まず書くことから
2 何を書けばよいのか
イ 資産を誰に何を遺すのか
ロ 遺留分にも注意
ハ 遺言執行人を指定
ニ 税法の特例も勉強して下さい
ホ 鍵等の格納場所を書き忘れなく
ヘ 残る家族に対する気持も
ト 第二次相続への配慮
チ 相談相手について
3 遺言書がすべてではない
4 法的に有効な遺言書
イ 遺言でなし得ること
ロ 遺言書の要式
(1)原則的な方法
(2)特例的な方法
第3編 最低必要な法律知識
第1章 民法に規定されているもの
1 法定相続人と相続分
2 遺留分
第2章 相続税法に規定されているもの
1 相続税の基礎控除
2 贈与税の基礎控除
3 配偶者に対する相続税額の軽減
4 贈与税の配偶者控除
5 小規模宅地の評価減制度
6 相続時精算課税制度
7 生命保険、退職手当の特別控除
第3章 所得税法に規定されているもの
1 課税譲渡所得金額の計算
2 短期譲渡所得税の計算
3 長期譲渡所得税の計算
4 居住用財産の特別控除額
5 長期保有居住用財産の軽減税率の適用
6 特定の居住用財産の買換え特例
7 相続等による居住用財産の買換え特例
8 特定の事業資産の買換え特例
9 譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例
10 住宅ローン控除
11 その他の特別措置法について
第4編 相続対策の研究
第1章 会社による財産管理
(1−1)自宅は個人所有か法人所有か
(1−2)同族会社による資産管理の損得
(1−3)同族会社への資産移転
(1−4)法人への収益物件移転メリット
(1−5)自社株の整理
(1−6)自社株の保有
(1−7)営業権の相続
(1−8)株式所有と会社支配
(1−9)会社法の施行
(1−10)同族会社の役員給与
(1−11)会社分割による財産分与
(1−12)子への事業用資産の譲渡
(1−13)同族会社への寄贈
(1−14)退職金特別控除と弔慰金
(1−15)時価貸借対照表の作成
第2章 不動産の管理について
第1 賃貸住宅に関連して
(2−1−1)賃貸住宅の贈与
(2−1−2)賃貸住宅を建設
(2−1−3)賃貸住宅を建てるときに
(2−1−4)サブリースと家賃保証
(2−1−5)マンションで相続対策
(2−1−6)土地の有効な所有方法
(2−1−7)借地権の使用貸借
第2 定期借地権に関連して
(2−2−1)定期借地権の取扱
(2−2−2)定期借地権の相続
(2−2−3)定期借地権にかかる保証金
(2−2−4)定期所有権としての扱い
第3 農地に関連して
(2−3−1)小作農地の相続税対策
(2−3−2)生産緑地の管理
(2−3−3)小作権は借地権ではない
(2−3−4)農地の相続準備
第4 資産の整理に関連して
(2−4−1)別荘の整理
(2−4−2)不動産譲渡損益の処理
(2−4−3)買換え特例の使い方
(2−4−4)事業用資産買換え特例不適用
(2−4−5)固定資産税の取扱
(2−4−6)残地扱いの土地の贈与
(2−4−7)譲渡所得にかかる取得費
(2−4−8)居住用財産3千万円控除
(2−4−9)居住の内容
(2−4−10)居住用資産特別控除の適用
(2−4−11)相続登記のすすめ
(2−4−12)不動産等の名義変更の取扱
(2−4−13)収益マンションの取扱
(2−4−14)個人用資産の譲渡損の取扱
第5 資産の評価に関連して
(2−5−1)広大地の評価法の改正
(2−5−2)広大地適用の判断基準
(2−5−3)不動産評価額の適用基準
(2−5−4)特別路線価の設定依頼
(2−5−5)ゴルフ練習所の対税策
(2−5−6)小規模宅地等の評価減の特例
第6 その他不動産の取扱に関連して
(2−6−1)耐震改修工事の減税
(2−6−2)土壌汚染法対策
(2−6−3)アスベスト対策
第3章 贈与制度の活用
(3−1)暦年課税制度の廃止
(3−2)相続時精算課税制度の活用
(3−3)配偶者控除
(3−4)誰に何を遺すか
(3−5)居住用財産の譲渡の特例
(3−6)贈与の取り消し
(3−7)預貯金等の名義変更
(3−8)贈与税基礎控除の活用
(3−9)相続財産の指定
第4章 動産の整理について
(4−1)動産の相続
(4−2)ゴルフ会員権の整理
(4−3)美術品等の寄贈
(4−4)仏壇や墓地の購入
第5章 相続人に関連した問題
(5−1)養子縁組み
(5−2)養子の検討
(5−3)相続分の放棄
(5−4)相続人の廃除
(5−5)「相続欠格」と「相続廃除」
(5−6)遺産分割の禁止
(5−7)遺産分割協議の当事者
(5−8)遺産分割のやり直し
(5−9)遺産分割協議の変更
(5−10)遺産分割協議書の書換え
(5−11)遺産分割協議書と物納
(5−12)法定相続人のいない相続
第6章 納税準備について
(6−1)相続発生後にかかる税金
(6−2)物 納
(6−3)相続税の物納
(6−4)アパートの底地を物納に
(6−5)重要文化財による物納
(6−6)物納手続きの改訂
(6−7)物納について
第7章 保険・年金制度の活用
(7−1)生命保険による納税資金の準備等
(7−2)変額年金の利用
(7−3)生命保険金特別控除
(7−4)生命保険契約の活用
(7−5)遺族年金としての受領
(7−6)遺産の残し方の研究
(7−7)年金受給権の活用
(7−8)生命保険金の相続上の取扱
第8章 債務その他の扱い
(8−1)借金の相続
(8−2)債務超過のケース
(8−3)保証債務などの清算
(8−4)同族会社への貸付金整理
(8−5)任意売却時の債務免除益
(8−6)借金返済のための土地売却
(8−7)団体生命保険金と債務
(8−8)同族会社への貸付金
(8−9)同族会社への保証債務
(8−10)債務と債務保証
第5編 相続開始後の対応について
1 まず現状把握から
2 期限内申告のメリット
3 申告その他届出期限の確認
4 相続の確認
5 財産リストの作成
6 必要書類の準備
7 遺産分割協議書の作成
8 同意書の作成
9 遺産の分割
10 延納・物納申請時の注意事項
11 申告期限後の取扱
<別紙>参考資料
1 各種税率表等
相続税、贈与税、所得税の速算表、
不動産取得税、登録免許税、固定資産税
印紙税、定期金に関する権利の評価、
広大地評価減比率
2 遺言書の作成例
3 相続税・贈与税用語集 |