真の財政危機について 
       (解説)不動産コンサルテングマスター 
           河 合 恭 伸

● まえがき

戦後最長の好景気と宣伝されているのに、GDP は20年間少しの成長も見せていない。そして 、世界一の経常収支黒字国日本なのに、国民の借 金が一人当たり8百万円もあると危機感を訴える 矛盾の真意は何処にあるのかを説明したい。

● 財政危機の中身について

国民の借金は一人当たり8百万円もあるとされま すが、経済規模が大きくなれば資産も負債も大き くなって当たり前です。

経常収支という黒字幅が世界一であれば、日本の 財政は少しも問題ありません。それでも危機感を 植え付けたいのは消費税という増税を進めたい財 務省の思惑があると思われます。

グローバル化の推進で国内産業は諸外国との貿易 戦争に晒されて疲弊し、不況感が強いが、大企業 は地価が安く低賃金労働者の多い国に工場を自由 に移転できるので、積極的に海外進出を図り、収 益を伸ばすことができているので、戦後最長の好 景気を謳う事ができます。

他方、海外商品との競合に敗れた国内企業は閉鎖 され、働いていた労働者は派遣労働者として放り 出されます。その結果、賃金を示す労働分配率は 08年に83%が15年に78%迄に低下しています。

結果的に、グローバル化の恩恵を大企業のみが享 受し、多くの国民はその犠牲者でしかありません。 更に、総ての消費者に負担を強いる消費税の増税 計画を推進しています。その反対論を封じるため、 国の借金はこんなにもありますと逆宣伝をしてい るのが今の政府です。

社会保険制度維持のため、消費税増税はやむを得 ないとしながら、法人税率は84年43.2%が18年 には23.2%にまで下げられ、給与所得税率は殆ど 変化がありません。

真の増税目的は何処にあるのか自明の事となりま す。消費を冷やす消費税引き上げに財界が賛成す る理由はそこにあります。

● 財政危機の追い打ち政策ついて

さらに問題なのは敗戦直後の1947年に作られた財 政法第4条1で「国の歳出は、公債又は借入金以 外の歳入を以て、その財源としなければならない」 と。

「但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源につ いては、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を 発行し又は借入金をなすことができる。」つまり、歳 出は歳入の範囲内で賄のが原則であると、財務省が プライマリバランス(以下、PB条項)の法的根拠 が定められています。

それでもさすがに敗戦直後の国土が荒廃しているな かではムリなので、但し書きで国会の決議の範囲で 公債発行を認めていますが、今の財務省はこれは但 し書きであり、PB条項が正しいと政策を推進し、 建設国債の発行も認めない政策を堅持しています。

グローバル化で国内消費景気が減少しているときは、 ケインズの提唱したように政府が建設国債を発行し て公共投資などで需要を喚起することで、地方にも 景気回復の起爆剤を投下すべきなのに、財務省はP B条項を楯に抵抗しています。

● 財政危機の追い打ち政策ついて

逆に需要不足による歳入減を赤字国債で賄う愚を 承認して負のスパイラルを増幅させる政策を推進 していますが、その方が増税政策に有利として放 置しています。

日銀が450兆円もの巨額の国債を買い入れ、市 場に資金をダブつかせてもインフレになっていま せん。逆に市場から国債が枯渇している状態です。

マイナス金利のいま、円建てによる建設国債を発 行しても経済政策上何ら問題は起こらないことが 立証されています。いまこそ、国民は立ち上がる べきです。


 


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