- 建築部材についての基礎知識 9 -



窓は建物の表情を作ります。外観からも、内からも建物に影響します。愛着の湧く家をどのように仕上げるか、その窓の使い方により大きく決まってきます。小さい窓、大きい窓、縦に長い窓、円形の窓、いろいろな雰囲気か生まれてきます。また、窓は換気と採光に大きな役割を果たしています。建築基準法による住宅の居室では、その部屋の床面積の1/7以上の採光に有効な開口部を設けなければいけません。例えば15畳のリヴィングであれば3.53m2の採光に有効な窓が必要になります。その窓は一ヶ所だけの窓ということではなく、窓が3ヶ所あれば、その合計の面積が規定の面積になればよいのです。

窓の位置が側壁の場合、天井の場合、外部に接する壁には窓を作らず、内庭に面して大きく開口部を設けた家もあります。
窓は最終的には外界と接触しますので、外部の気候に大きく左右されます。省エネの立場からペァガラス、樹脂サッシ。防犯用に網入りや防犯ガラス等が開発されています。機密性からはアルミサッシが重宝されています。
窓を保護するものとして雨戸があります。従来の木製やスチール雨戸から、最近はシッター式が多用されています。中には、おしゃれな木製の開き戸を付けるところもあります。
銘 木
「銘木」といわれるものは、主として部屋の内装材に使用される木材のことで、形、色、木目、光沢、艶など品質に優れ、趣のあるものをいいます。典型的なものとして玄関框や大黒柱に用いられる欅の無節の一枚ものや、その玉木目を生かした床板などがあります。

優れた木材を産出し、日本の文化と風土に合った木造住宅を作り出してきた日本人の感性に沿った木材が銘木になります。従って、洞のできた木材も、その趣により銘木として利用されます。

最近は、良質な木材の産出が少なくなってきたことと、より安価に銘木の味わいのあるものを求める風潮に従って、集成材が作られたり、人工的に彫りを施して銘木の趣を作り出したりしたものが作られています。そのとき、主体となる木材のつなぎ目に、わざと銘竹、葦、蒲などを用いて趣のあるものが作られます。

国産材で一般的に銘木として利用されるものに欅、桜、檜、杉、屋久杉、黒柿、一位木など多種類に上ります。これらは主として床柱、床ゆか、玄関框、大黒柱、天井など、様々に用いられます。最近は、海外からいろいろな木目や木の肌をした木材、黒檀マホガニー、メープルなど輸入されています。これらは、主には家具や階段手すりなどに用いられているようです。

木 材(その1)
建物に木材は不可欠のものです。特に木造建築は柱などに木材を使用するだけに、その使い方を誤ると本来の役目を果たさなくなります。
その木材には独特の呼び方があります。「グリーン材」とは乾燥していない材木のことで、そのまま使用すると狂いが生じやすいので、通常は乾燥させて用います。材木を乾燥させると、まず含水率25%までは繊維間にある自由水が減少し、次は繊維の中にある結合水が蒸発します。この時木材が収縮を始め、含水率20%以下で「乾燥材」になります。含水率が15%程度で「気乾材」となり、大気の湿度と平衡した含水率の木材として、木材の性質が非常に安定した状態で、理想的な建築用材と言われます。
「AD材」とは自然乾燥させた材のことで、時間がかかります。そこで「KD材」と言って高温の蒸気室で人工的に乾燥させたものを使用する事になります。基本的にはAD材の方がKD材より強いと言われています。
木材の中心部材を「心材」といい、その外周部材を「辺材」といいます。一般的には心材の方が堅くて水分も少ないので辺材より構造材に適していると言われます。
木 材(その2)
木材は用いる場所によって、その材料を選ぶ必要があります。一般的に、真っ直ぐ伸びて強く軽いのが針葉樹で、その代表は杉、檜等があり構造材に適しています。広葉樹は堅くて重く家具や、内装材に多く用いられます。
杉は木肌が美しいが、柔らかく構造材としてはベイマツより劣ります。しかし、それなりの太さの木材を選べば問題はありません。よく似たベイツガは耐久性が低く、腐朽や耐蟻性にも劣るので、用いる場所を選ぶ必要があります。
土台は湿気を吸いやすい場所なので、乾燥度より耐久性対蟻性を重視し、ヒバ、檜が適当です。柱は狂いの少ない芯持材の杉や檜が適当です。
最近、色々な材木を接着剤で繋ぎ適当な太さの材木に仕上げる「集成材」が多様されるようになりました。同じ太さなら自然材より2割ほど強く、歪みも少ないとされています。しかし、接着剤の強度や製造工程如何で、その強度も変わってきますので、使用場所や用い方を選ぶ必要があります。
床 材
建物の床材は、用途により多種多様な製品が作られています。床材のことをフローリングと言いますが、フローリングという場合は木質系の床材を指す場合が多いようです。

使用場所としては屋内居住用ではリビング、洗面所、浴室、台所等の他、マンションの階段や廊下などの共用部分、事業用では事務所、作業場、工場などにより使用される材質は当然異ります。使用材料としては、居住用では木質系床材、ビニール系クッションフロァ(CF)、畳、カーペット、コルクマット等が、事務所等ではタイルカーペット、硬質FC、塗装剤等が多く用いられています。木質系の床材には単一の素材を用いた無垢材と数枚の板を貼り合わせた複合フローリングに大きく分かれますが、無垢材の場合歪みが多く現れ勝ちなので、特に床暖房の場合メーカーが敬遠します。マンションなどでは騒音に対する苦情が多いので、スプーンを落としたときの軽量衝撃音(LL)と、子どもが飛び跳ねた時の重量衝撃音(LH)に分けて等級表示を示している場合が多い。こうした騒音に対しては木質系床材よりカーペットのほうが一般的に有効ですが、最近は木質床材の裏にクッションを貼ったL35(LLを略してLと表示)が多く用いられています。

書斎や事務所等で使用されるキャスター付椅子はキャスターの当たる部分に凹みが生じやすいので床の材質に配慮する必要があります。台所や洗面所など水分多いものがこぼれるところは勿論のこと、リビングなどもダニの発生に配慮して木質系床材が使用が圧倒的に多い。

マンションの階段や廊下などの共用部分、倉庫や作業場の床など広い面積の所には、防水、防塵効果に優れた塗装剤が多く用いられています。適材適所に相応しい床材を選択される必要がありますが、全体のカラーコーディネートにも十分に配慮しないと、折角の投資の効果が半減されることがあります。
床暖房
韓国や中国北部の住宅暖房に、昔から「オンドル」が使われていました。台所の煮炊きの熱を居間等の床下に引き込み、暖めるものです。しかし、床の乾燥により生じたひび割れから一酸化酸素漏れ、中毒死が発生していました。

しかし、その快適さを現代の住宅に生かした「床暖房」がガス会社から発売され、爆発的に住宅設備として広がりを見せています。
「温水床暖房」は、ガスなどで暖めた温水を床下に配管し、その温水の持つ赤外線や輻射熱を利用したもので、部屋の70%程度敷き詰めれば15分位で床が暖まり30分から1時間で室温が25−30℃程度になります。熱源として、都市ガスの他、プロパンや灯油を利用したものも出回っています。

エアコンのように空気を循環させないので、ホコリが舞うことも少なく清潔なこととと、部屋の隅が寒いなどと言うことも少ない。また、暖房器具も不要なので、部屋が広く使えることも魅力のようです。
似たものに「電気床暖房」が売り出されています。床下に電気による面状発熱体を敷き詰めます。当初はニクロム線などが利用されていましたが、いまはカーボン粒子の入った特殊半導体物質を利用した発熱体が利用され、耐用年数も飛躍的に向上しているようです。イニシャルコストは温水も電気も同じようですが、電気はオール電化などを利用すると大分格安のようです。

今一つ、「蓄熱床暖房」もあります。コンクリートを蓄熱材としてその中にパイプを埋め込んだものです。経済的だと勧める向きもありますが、温度調節がスムースでないため、外部の気温の変化に適切に対応できないという問題点があるようです。その他、「温風床暖房」が売り出されています。床下の配管を利用し、空気清浄機とセットになった送風機で温風を床下から部屋に吹き出し暖めるものです。床下を乾燥状態に維持できるとのことですが、どうしても空気の循環に偏りが生じることと、新築でなければ設置が難しいところが問題のようです。

床暖房に似たものに「電気カーペット」があります。局部的な暖房なので、部屋全体を暖めるには適しておらず、コードやコネコターなど器具が歩行の邪魔になります。
擁 壁
土地を有効に利用するため、傾斜地に擁壁工事を行います。その材質にコンクリートブロック、崩れ石積、既成コンクリート建地風ブロック、切石、無筋コンクリート、鉄筋コンクリートL型擁壁などがあります。一般的に掲載順に地耐力があるとされていますが、高さと関係し、施工に当たってある程度の傾斜を設け、適切な水抜き穴を設けておく必要があります。

一般的に宅地造成などで擁壁が設けられたとき「検査済み書」が交付されますので、これらの書類のない工事は要注意です。
一番堅固であるとされる鉄筋コンクリートでも底辺部の奥行きが高さに対して0.7−8程度必要とされています。配筋が少ない場合も当然問題がおこります。

コンクリートブロックの擁壁の場合、底辺に対して30度を越える範囲に建物など荷重が懸かる工事は避けなければ耐久力に問題が起こります。何れの擁壁工事も埋め戻した部分の地耐力は弱いので、その部分に支持杭などの施工をしないで建物などの荷重のかかることは避けなければなりません。
こうした擁壁工事の代わりに、傾斜面にモルタルを吹き付けて土止めし、コンクリート柱を建てて建物等を支持する簡便法も行われていますが、柱の防水処置などを適切にしないと、耐久力に問題が起こる場合も出てきます。

目視して、当然あるべき傾斜がなく、逆に張り出している場合や継ぎ目に段差が見られる場合、水き穴が何らかの原因で埋まってする場合など、将来的に問題が起こる可能性が高いと考えられます。
浴 槽
最近は、我が家でくつろげる場所として、浴室についての関心が高くなっています。昔は、浴室のある家が少なかったのですが。今は車庫とともに浴室のない家は殆どありません。それだけに浴槽の素材も豊富です。

昔から使われていた香り豊かな木製風呂に代わって、比較的安価なポリ浴槽が出、次に保温性、手入れの簡単なステンレス浴槽がでてきました。最近は高級感があり肌触りもよく、色彩や成形の自由な人造大理石浴槽が主流になってきています。そして浴室全体の色彩豊になり、楽しい雰囲気が作られると共に、省エネにも配慮されたものになってきています。

浴槽の形も、従来の座位スタイルのものから、横臥するものになりつつあります。その分、浴室も大きなスペースを必要とします。従来から浴室の利用上の問題点として、床が冷たいとか、換気が悪い、湯が冷めやすい等の指摘がありましたが、浴室全体の素材を改善したり、浴室換気をおこなってカビの発生を抑えるとか、ミストを発生させて保温効果を高めるなどにより、大幅に改善が図られています。

こうしたことと併せて、老人介護や入浴支援が大きな課題になっていています。浴槽に入ったとき、体が滑り込まないような工夫や、体位を保つための手摺りの設置、腰掛けて入れるスペース設けるなどの工夫がされています。その他、車いすから即、浴槽に入れたり、昇降式浴槽や、折りたたみ式介護浴槽も開発されて、介護の負担軽減に大きな力になっています。
冷暖房設備
夏の気温が30℃を越えるのが常時という地球温暖化が進んでいる現在、「エアコン」は必需品です。省エネが叫ばれ、性能も一段と向上しAPF6.0(通年エネルギー消費効率で、数値が高いほど高性能)以上の物が出回っています。

「空調設備」とは、人がより快適に過ごすための温度、湿度、空気清浄、気流、浮遊粉塵、CO2、気流、騒音、振動、臭気など総合的に配慮してコントロールする設備のことで、一般に云われる「エアコン」は単なる冷暖房設備のことで、若干意味合いが異なります。

従って、最近のように高気密な住宅になりますと、シックハウス症候群からの回避、喫煙や浮遊塵埃による空気の汚れが気になりますので、単なる室温の調整の他、効率的な換気を行うため、吸排両用熱交換換気扇を利用する等の工夫が必要になります。エアコンの熱効率は、フイルターの汚れや熱媒体のフィンの汚れにより効率が低下しやすいので、自動的にブラシでフイルターのゴミを落としたり、フィンに特殊加工を施して汚れを付きにくくした上、ドレン水を利用して洗浄するセルフクリーン機能付の機種が出てきています。

ヒートショックと言って、温かい部屋から寒い廊下や暖まっていない風呂場との温度差で体調を崩される人があるので、最近は各室暖房から建物全体の温度調節に移行される傾向があります。その他、エアコンの騒音も、室内機は比較的静粛でも室外機の騒音が気になります。そこで、室外機1台に対して室内機を数台の組合せにしたものを利用したり、全室冷暖房されるようになってきています。
その他、最近夜間電力を利用して氷や温水を貯蔵して、昼間にその熱を利用する空冷ヒートポンプ室外機も出回っています。
煉 瓦
煉瓦が建築資材としてわが国に入ってきたのは幕末。
西洋化、近代化を進めるに当たり、外観的を整えようとして導入されました。しかし、その頃は鉄筋と組み合わせる技術もなく、明治の濃尾地震、大正の関東大地震を経験して、煉瓦の時代に終止符が打たれてしまいました。精々45年間程度の利用とみられています。
しかし、煉瓦を主な建築材料とすることは、わが国ではムリでも、その暖かみのある資材が好まれ、装飾的、補助的な資材として、いまでも多く使われています。煉瓦の製造方法は、さほど難しいものではなく、製鉄用耐火煉瓦の製造の方が数段難しいものです。
英国では良質な建築用石材がなく、代わって煉瓦が作られたこともあり、その形は当初、現在の様な豆腐型でなく、こんにゃく型でした。わが国では、はじめて横須賀で一個づつ型に入れ、製造所の刻印を押して作られていましたが、次第に製法が簡略化され、長く伸ばした粘土を鋼線で輪切りし、ホフマン窯を使い、効率的に作られるようになりました。
積み方はイギリス積とフランス積があり、何れもわが国のように一つ並べに使うのでなく、壁の幅に1個半使うような積み方をしています。イギリス積の仕上がりは、一段ごとに横使いと縦使いをしているように見え、フランス積は縦と横を交互に使っているように見える違いがあります。
ロフト
我が国では、一般的に「ロフト」と言うと屋根裏収納をさしていますが、屋根裏収納のときは「小屋裏収納」、居住の一部として利用するときは「ロフト」と区別されます。
建築基準法上では天井高1.4m以下で面積が直下階の床面積の2分の1未満であれば床面積に算入されません。その場合、自治体により指導が異なりますが固定階段でもよい。

一般住宅の場合は「小屋裏収納」として設備され、賃貸住宅の場合は寝室兼用に「ロフト」が設けられているケースが多いようです。「小屋裏収納」の場合、精々換気扇が付けられる程度の配慮がされますが、賃貸住宅の「ロフト」の場合、ワンルームのスペースを有効に使う程度の感覚なので、特別に空調に配慮は一般的にはされていません。「小屋裏収納」は季節の家具などを収納でるので重宝されていますが、出入りは天井収納の折り畳み式の梯子が利用されています。建売住宅の場合、木製の重量のあるものが多く、取扱が不便なものが多いので、アルミ製の軽量なものを検討されることをお勧めします。

賃貸住宅で「ロフト」を寝室に使う時、外から寝室が目に付かないという利点もありますが、急な階段を利用することが多く、寝とぼけて踏み外す危険や建物の保温設備や空調の取付位置によりますが不十分になりやすいこと、上層階の物音がもろに来て睡眠が妨げになることが多いようです。それでロフト付は人気があります。
海外の建物のようにように屋根裏の懐が広く天井もそれなりに高い場合、明かり窓を作ったりして居住空間として利用が進んでいますが、我が国の場合と条件が異なります。

 

 

 

 

 

Copyrights 2004 株式会社西日本不動産センター